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2006年4月19日 (水)

父の禁煙

Akaihana03a20数年も前のことです。私が大学受験へ向けて必死に勉強していた浪人時代のある日、1日2箱のたばこを吸っていた父が、まさに突然きっぱりとそれを止めたのです。

家族一同はもうびっくり! もちろんみんな一様に大歓迎です。

「父ちゃん、たばこ吸い過ぎると身体によくないよ~。もう止めたら。」

日頃から父にそのようにしつこく禁煙を勧めていた私などは、内心

「俺の再三の禁煙攻勢がついに功を奏したぜ!」

と得意満々でした。

ところが、その私の高慢な高い鼻が完璧にへし折られたのは、それから何年もあと、私が結婚して、最初の息子が生まれた時でした。

父親になった私に、母が懐かしそうにこう話したのです。

「吉隆、あなたが浪人の頃、父ちゃんたばこ止めたでしょ。なぜだったかわかる?」

「そりゃあ、父ちゃんの健康を考えて、みんなが執拗に禁煙勧めたからでしょ。」

すると母は優しく曰く、

「もちろんそれもあるし、父ちゃん自身の健康のためでもあるけれど、一番の理由は、あなたが大学に受かるように願をかけて苦しいニコチン中毒をものともしないで止めたのよ……。
あなたもこれから一児の父親、父ちゃんのあなたに対する愛情をいつも心に留めながら、子育て頑張ってね。もちろん無理はしない自然体で……ね。」

大ハンマーで頭を思いっきり殴られたような気がしました。

同時に、ニコチンの禁断症状で、いらだつ気持ちを抑えようと必死にあめ玉をしゃぶったり、ガムをかんだり、禁煙パイプのようなものをくわえて気を紛らわそうとする父の姿が思い出され、胸がとても熱くなりました。

やがてこぼれそうになる涙を母に悟られまいと本当に必死でした。

親というものは本当にありがたい存在です……。

それからの約20年間、今に至るまで、私は酒・たばことはきっぱりと縁を絶ちました。

父から受けたおそらく返すことの出来ない深い愛情と恩に、父のように自分の子供たちの幸福を願い努め励むことによって少しでも報いられるように……。


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